【意外な事実】日本各地のラーメン45種類の特徴と料理写真の味旅物語

麺類

【ラーメンの意外な事実】

日本のラーメンと中国の拉麺は、味わい、見た目、特徴においてまったく異なる食べ物と言っても過言ではありません。確かに起源は中国にありますが、日本に伝わったラーメンは、各地の名産品や地域の特色を取り入れ、それぞれ独自の進化を遂げ、今や日本を代表する国民食となりました。

蘭州牛肉拉麺(ラーメンの起源)

中国と日本のラーメンの違いはその歴史の長さにあります。中国の拉麺には様々な説がありますが、特に4000年以上の歴史を持つとされる中国甘粛省蘭州の郷土料理、蘭州牛肉麺が有名です。この蘭州牛肉麺は拉麺の原型とも言われ、イスラム教徒が多い地域の特色を反映し、豚骨ではなく牛骨からとったスープに10種類以上のスパイスを加え、手延べした細い麺にラー油やパクチーをのせて提供されます。現在も蘭州市内には約3000店の蘭州拉麺店が存在し、多くの店で職人が手作業で麺を引き伸ばす実演を見ることができます。「拉」は中国語で「引っ張る」を意味し、小麦粉を引っ張って麺を作ることが名前の由来です。

ラーメン(日本の典型的なラーメン)

一方、日本では1488年に「経帯麺」という中華麺に似た食べ物が登場し、1697年には水戸光圀が中華麺を食べた記録が残っていますが、当時は庶民には広まりませんでした。明治維新以降、華僑が経営する中華料理店が登場し、ラーメンが徐々に広まりました。1910年には浅草に最初のラーメン店「来々軒」が開店し、その後全国各地にラーメン店が広がりました。中国のラーメンでは脂と塩分のバランスが重視されるのに対し、日本のラーメンでは麺の強度、スープの濃厚さ、そして魚介、鶏、豚などの出汁と醤油、塩、味噌などの調味料のバランスが特徴です。また、麺にはかん水を使用して、小麦粉のタンパク質(グルテン)に作用し、独特の風味と弾力、光沢を生み出すことが蕎麦やうどんとの大きな違いです。

日本の一般的なラーメン

ラーメンの基本的な具材

拉麺の主役を麺とスープとすれば、脇役は具材となります。この具材は、定番の食材が使われます。元々、ラーメンに入っている場合と、後から別途、注文する場合もあります。

焼豚

焼き豚はチャーシューとも呼ばれ、代表的なラーメンの具材です。製法も様々で、味も異なりますが、日本の焼豚は中国の焼豚と異なり、香辛料の味は控えめです。

メンマ

メンマはタケノコの一種を乳酸発酵させて作られた中華料理の食材です。日本で食べられるメンマの99%は中国と台湾からの輸入となっています。

ナルト

ナルトは魚肉をすりつぶし、伸ばして巻いて製造されます。見た目が渦を巻いており、ラーメンの具材の中ではユニークな存在となっています。名前の由来は四国地方の鳴門海峡の渦潮からきています。

卵/海苔

トッピングで卵や海苔をのせて提供されることがあります。特に横浜家系ラーメンには海苔は不可欠です。

葱・野菜

葱はラーメンにとって代表的な薬味です。葱の刻み方によって味や風味も変わるため、具材としても使われます。その他、モヤシや玉ねぎといった野菜が使われることもあります。

【ラーメンスープの味旅物語】

日本のラーメンは醤油をベースにした醤油ラーメン、豚骨をベースとした豚骨ラーメン、味噌をベースとした味噌ラーメン、魚介や鶏などをベースにした塩ラーメンの4つのタイプのスープに分類されます。それぞれの地域で独自のラーメンがありますが、ほとんどはこの4つのタイプに属しています。

醤油ラーメン

“醤油ラーメン”は1910年、浅草の”来々軒”で東京ラーメンとして提供されたのが起源といわれています。通常、日本でラーメンといえばこの醤油ラーメンのことを指すほど代表的なラーメンです。

★醤油ラーメンの美味しいお店

淺草 來々軒 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21
【評判】醤油ラーメン発祥の店/新横浜ラーメン博物館内の飲食コーナーとして復活/明治43年創業の来々軒の復刻メニュー

豚骨ラーメン

“豚骨ラーメン”は1937年に九州地方の福岡県久留米市の屋台”南京千両”が発祥と言われています。豚骨からスープを取るため、白濁した濃厚な味が特徴です。九州地方を中心に食べられていたラーメンでしたが、現在では日本全国に浸透してどこでも食べることができます。特にこの豚骨ラーメンは訪日外国人から絶大な人気を受けています。

★豚骨ラーメンの美味しいお店

南京千両 国分店 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】福岡県久留米市野中町1357-15
【評判】豚骨ラーメン発祥の店/創業昭和12年/豚骨ラーメンには珍しいちぢれ麺

味噌ラーメン

味噌ラーメンは1955年、北海道の札幌市の大衆食堂”味の三平”で考案されたラーメンです。その後、札幌市を中心に味噌ラーメンは広がり、日本各地で独自の味噌ラーメンに進化していきました。味噌は日本人にとって基本となる食材であり、それをラーメンと組み合わせたのがこの味噌ラーメンとなっています。

★味噌ラーメンの美味しいお店

味の三平 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】北海道札幌市中央区南一条西三丁目2 4F
【評判】札幌味噌発祥の店/創業昭和25年/昭和29年に味噌ラーメン考案

塩ラーメン(Sio Ramen)

塩ラーメンは塩をベースにして昆布や鶏ガラを煮出してスープを作ります。スープの色は他の醤油や豚骨、味噌と異なり透明に近い色になっています。具材も海鮮(魚や貝など)などを使用し、淡白な味のラーメンとなっています。

★塩ラーメンの美味しいお店

函館ラーメン 西 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】北海道函館市末広町19−14
【評判】塩ラーメン発祥の函館の老舗店/昭和10年創業/金森赤レンガ倉庫徒歩6分/あっさりとした塩味スープ


【本場中国と日本発祥の味旅物語】

中国の本場の拉麺は、日本でも人気を集めています。一方で、一見、中国の地名がついていても、日本で考案されたラーメンもあります。

担々麵(中国四川省)

担々麺は、中国の四川省が発祥地とされるラーメンです。日本の担々麺は、中国のものよりも辛さは抑えられていますが、ほぼ、本場の中国の拉麺といえます。具材には、味付けした挽肉のそぼろ、チンゲン菜、ホウレンソウなどがのせられます。

★担々麵の美味しいお店

四川担々麺阿吽湯島本店 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都文京区湯島3丁目25-11
【評判】湯島にある四川料理店の担々麺/花椒や山椒の香りが強く、痺れる辛さが特徴
175°Deno担担麺Tokyo ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都新宿区西新宿7丁目2-4 1F
【評判】新宿にある担々麺専門店/濃厚な担々麺のスープが特徴/肉味噌の風味が強い
担々麺 ほおずき ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都中野区中野5丁目52-1
【評判】中野にある担々麺専門店/豚肉と香味野菜がたっぷりのスープが特徴/
辛さの調整が可能

刀削麺(中国山西省)

刀削麺は中国山西省発祥の伝統的な麺料理で、最近日本でも人気が高まっています。この麺は独特の調理法で知られており、小麦粉の生地を塊のまま持ち、特殊な包丁で直接鍋に削り落として作られます。モンゴル民族の支配下で漢民族から金属器が取り上げられたため、薄い鉄片で自作の刀を使用して麺を削り出す技法が発展しました。これが刀削麺の由来となっています。

★刀削麺の美味しいお店

刀削麺 西安飯荘 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都品川区西五反田2丁目10-8 1F
【評判】伝統的な刀削麺を提供する専門店/麻辣スープ、担々麺、酸辣湯ベースなどスープの種類が豊富/不揃いな麺の食感が特徴的
唐朝刀削麺 西新宿店 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都新宿区西新宿2丁目3-1
【評判】中国山西省の伝統的な刀削麺を日本で初めて提供した先駆的な店/本場の味を日本人の口に合うよう麻辣味に改良
刀削麺園 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都中央区銀座3丁目12-1
【評判】刀削麺の専門店/麺の種類、スープの種類が豊富

雲吞麺(中国香港)

ワンタン麺は、具材としてワンタンにエビや豚挽肉、鶏挽肉、ネギなどを包み、麺の上にのせて食べる中国が本場の拉麺です。中国南部の香港などが有名でしたが、現在では世界中で食べられている世界的に人気のある拉麺です。

★雲吞麺の美味しいお店

南粤美食 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】神奈川県横浜市中区山下町165−2
【評判】横浜中華街にある広東料理の専門店/一番人気は「香港海老雲呑麺」/海老がぎっしり詰まったワンタン/極細の卵麺/広東出身のシェフの伝統的な広東料理

酸辣湯麺(中国四川料理+和製ラーメン)

もともと酸辣湯は四川料理の一種で、酸味と辛味を特徴とするスープです。このスープは酢の酸味と唐辛子や胡椒の辛味が効いた味わいで、豆腐、鶏肉、シイタケ、キクラゲ、タケノコ、長ネギ、トマトなどが入り、食塩、醤油、生姜汁で味付けされます。さらに、唐辛子や豆板醤、ラー油で辛味を加え、片栗粉でとろみをつけた後に溶き卵を加えて完成します。日本では、茹でた麺を加え”酸辣湯麺”という和製中華のラーメンとして進化しました。

★酸辣湯麺の美味しいお店

新潟 三宝亭 東京ラボ ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】 東京都目黒区上目黒2丁目44-5
【評判】 新潟の老舗店の東京支店/とろみのある麻婆麺が人気/辛さと酸味のバランスが絶妙/麻婆丼も人気
揚州商人 目黒本店 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都目黒区目黒1丁目6-16明洞ビル1F
【評判】酸辣湯麺の専門店/辛さと酸味のバランスが良く、コクのあるスープが特徴

天津麵(和製ラーメン)

天津麺は天津飯から派生した日本で生まれた創作ラーメンです。中国に実在する天津市にはこういった料理は存在しません。蟹身、玉子、片栗粉、ネギでとろみをつけた餡と、鶏ガラスープで味付けします。見た目が鮮やかでファンも多くいます。

★天津麵の美味しいお店

東東 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】千葉県松戸市紙敷1丁目14-4
【評判】祖父の店を孫の女子大生が引き継いだ話題の店/ボリューム感あり

広東麺(和製ラーメン)

広東という中国の地名がついていますが、これは日本発祥のラーメンです。醤油ベースのスープに肉や野菜を中華風に炒めて、片栗粉を混ぜた粘り気のあるあんをかけたラーメンです。明治時代、華僑の中国料理屋で、片栗粉を使ってとろみをつける調理法が普及し。この新しい技法で天津麺、広東麺が発案されたとされています。

★広東麺の美味しいお店

千勝亭 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】大阪府大阪市東成区東小橋1丁目6-6
【評判】野菜多/醤油あんかけ/リーズナブル

台湾まぜそば(和製ラーメン)

台湾まぜそばは、中部地方の愛知県名古屋市のご当地ラーメンです。ニンニクと醤油味の挽肉を太い麺にのせた、汁なしのラーメンの一種です。油そばと似ていますが、ニラやネギ、魚粉、卵黄などの色鮮やかな具材を使い、見た目も鮮やかなラーメンです。歴史は浅く、2008年に名古屋市のラーメン屋が考案したと言われています。

★台湾まぜそばの美味しいお店

麺屋はなび  ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】愛知県名古屋市西区名駅2丁目18-4 2F
【評判】台湾まぜそば発祥の店/石焼鍋で提供される台湾まぜそばが特徴/ピリ辛の台湾ミンチと温泉卵のバランスが絶妙
麺屋まぜはる ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都台東区浅草橋4丁目4-5
【評判】東京の人気台湾まぜそば店/極太麺と台湾ミンチ、刻み海苔や卵黄などの具材が特徴

【独自進化したラーメンの味旅物語】

近年、「創作系」や「ニューウェーブ系」と呼ばれる新しいジャンルのラーメンが注目を集めています。これらのラーメンは従来のものと比較して、食べ方、見た目、味がユニークで、日本のラーメン文化の多様化を象徴しています。

つけ麺

麺とスープを別々の器に入れて食べるつけ麺は、1955年に東京の”大勝軒”が発祥とされています。このラーメン店の山岸氏が、残った麺やスープを別々に食べていたのがつけ麺の起源です。現在ではつけ麺は、ラーメンに並ぶ大きなジャンルになっています。

★つけ麺の美味しいお店

中野大勝軒 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都中野区中野3丁目33-13 1階
【評判】つけ麺発祥の店/1955年に山岸一雄さんが「もりそば」を考案

油そば

油そばは、丼の底にごま油や醤油ベースの濃厚なタレを入れ、麺をからめて食べるスープのないラーメンです。東京の武蔵野地域が発祥と言われています。好みに応じてラー油や酢などを加え、具材として温泉卵、チャーシュー、メンマ、ネギなどを入れます。

★油そばの美味しいお店

珍々亭 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都武蔵野市境5丁目17-21
【評判】油そば発祥の店/亜細亜大学武蔵野キャンパスの近隣/備え付けのラー油と酢で味を調整

ラーメン二郎

ラーメン二郎は1968年に東京都のラーメン屋の山田氏が考案した独特のラーメンです。豚骨ベースの醤油味のスープと太い麺、山盛りの野菜などが特徴です。味も見た目も他のラーメンとは大きく異なり、まるで別のジャンルのラーメンとも言えます。ラーメン二郎のラーメンに影響を受けたラーメンは、二郎系ラーメンと言われています。

★二郎系ラーメンの美味しいお店

ラーメン二郎 三田本店 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都港区三田2丁目16-4
【評判】ラーメン二郎発祥の店/ラーメン二郎の直系店は全国に41店舗/1968年に東京都目黒区で創業し1970年代前半に現在の場所に移転

横浜家系ラーメン

横浜家系ラーメンは、1974年以降、関東地方の神奈川県横浜市を発祥地とする豚骨醤油ベースのスープと太麺を使用したラーメンです。このラーメンを提供する店は、店名の後に”家”をつけることからこの名前がつきました。具材としてはホウレンソウ、海苔、チャーシューなどが一般的です。この横浜家系ラーメンは、アジア全体でも大変人気のあるラーメンです。

★横浜家系ラーメンの美味しいお店

家系総本山 吉村家 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】神奈川県横浜市西区岡野1丁目6-4
【評判】横浜家系ラーメン発祥の店/974年に開業/日本とアジアを中心に約1000店舗