- 【魚の握り寿司の味旅物語】
- 鯵(有名/低~中価格帯)
- 穴子(有名/低~中価格帯)
- マイワシ(有名/低価格帯)
- 本マグロ(有名/高価格帯)
- ビンチョウマグロ(有名/低~中価格帯)
- カレイ(有名/低~中価格帯)
- 平目(有名/中~高価格帯)
- 鰹(有名/低価格帯)
- スズキ(有名/低~中価格帯)
- コハダ(有名/低~中価格帯)
- サバ(有名/低価格帯)
- 秋刀魚(有名/低価格帯)
- サーモン(有名/低価格帯)
- カンパチ(有名/高価格帯)
- 鰻(有名/高価格帯)
- 鯛(有名/高価格帯)
- 関あじ(希少性高い/高価格帯)
- ノドグロ(希少性高い/高価格帯)
- ハマチ(有名/高価格帯)
- 鱧(希少性高い/高価格帯)
- トラフグ(希少性高い/高価格帯)
- カサゴ(希少性高い/中~高価格帯)
- カワハギ(希少性高い/中~高価格帯)
- サヨリ(希少性高い/中価格帯)
- ニシン(希少性高い/中価格帯)
- 数の子(有名/中価格帯)
- 太刀魚(希少性高い/中価格帯)
- イサキ(希少性高い/中価格帯)
- キンメダイ(希少性高い/中価格帯)
【魚の握り寿司の味旅物語】
握り寿司は、お酢で味付けをした白米の上に、さまざまな魚介類をのせて作られます。この白米の上にのせる魚介類をネタと呼びます。代表的な魚介類には、マグロ、サーモンなどがありますが、これらは一部に過ぎません。握り寿司は、そのシンプルな見た目とは裏腹に、深い味わいや技法があります。握り寿司を食べる際の一般的なマナーとして、寿司を醤油につけるときは、酢飯の上にある魚介の部分を軽くつけて食べるのが正しいとされています。また、ワサビやしょうがといった薬味も一緒に楽しむことで、寿司の味を一層引き立てることができます。
鯵(有名/低~中価格帯)
マアジはアジ(学名:Caranginae)の中でも特に人気があり、透明感のある白身が特徴です。この白身は旨味と甘みが強く、お刺身、塩焼き、煮付けなど様々な料理に向いています。産卵を控えた夏の時期が旬です。また、アジの味は生息域によっても異なります。内湾に住む瀬付きアジは、体がやや黄色く、身が厚く脂がよく乗っています。対照的に、外洋に生息するアジは色が黒く、身が筋肉質でさっぱりした味わいです。また、瀬戸内海と太平洋の水塊がぶつかり合う豊後水道で一本釣り漁法で漁獲されるアジは特に美味しいとされ、「関アジ」と呼ばれる高級魚として知られています。
穴子(有名/低~中価格帯)
島根県、長崎県、宮城県でよく漁獲される穴子(学名:Conger myriaster)は、旬が6月~8月と10~12月の2つのシーズンに分かれています。穴子はウナギに似た細長い体型を持ち、ウナギ目アナゴ科に属する海水魚です。ウナギと同様に、穴子の血液には生で食べると毒性があるため、一般的には加熱して食べられます。生魚が主流の握り寿司の中で、煮魚の寿司は珍しい存在です。煮穴子は通常、醤油、みりん、砂糖、酒などで作られた甘辛いタレで煮込まれ、このタレが穴子にしみ込むことで、上品な甘さと深い味わいが加わります。
マイワシ(有名/低価格帯)
マイワシ(学名:Sardinops melanostictus)の旬は5月から10月です。特に秋のマイワシは脂がのっており、旨味が豊かです。刺身やつみれなど、幅広い料理で楽しむことができます。大きさは15㎝~20cm前後のものが多く、成長するにつれて名前が変わる出世魚です。ちなみに、稚魚はシラスと呼ばれています。煮干しの原料にもなるカタクチイワシに比べると、マイワシは濃厚な味わいが特徴です。
本マグロ(有名/高価格帯)
黒マグロとも呼ばれる本マグロ(学名:Thunnus orientalis)は、マグロの中で最高級の魚種になります。津軽海峡の大間など日本近海で漁獲されるマグロの旬は秋から冬、南半球で漁獲されるマグロは夏が旬です。日本では、鮪は1万年以上前から食べられていました。マグロは、かつては寿司ネタとして人気がありませんでした。マグロが寿司ネタとして登場するのは、天保年間(1830年~1844年)のことです。当時、マグロが獲れすぎて非常に安くなったことから、寿司ネタとして使ってみたところ、意外に人気が出たといわれています。ただし、天保年間から明治時代の半ばまでは、醤油に漬ける”ヅケ”として握られる、脂肪の少ない赤身が好まれていました。脂肪の多い部分が好まれるようになるのは、関東大震災以後のことで、トロに人気が出るのはようやく昭和初期からのことです。
ビンチョウマグロ(有名/低~中価格帯)
ビンチョウマグロ(学名:Thunnus alalunga)は秋から冬にかけて旬を迎え、この時期の脂ののった個体は「マグロの女王」とも呼ばれ、ホンマグロに近い味わいがあります。マグロの中では小型種で、体長は最大約1.5mほどです。天然物が主流で、リーズナブルな価格帯で手に入るのも魅力です。味わいは淡白で、 身質が非常に柔らかく、筋を感じにくいのも特徴です。
カレイ(有名/低~中価格帯)
日本で獲れるカレイ(学名:Hippoglossoides dubius)の種類だけでも数十種類いて、ほぼすべての種類を食べることができます。旬は、主に産卵前の卵をもった子持ちカレイが獲れる時期を指します。種類によって旬の時期が異なり、ほぼ一年中いずれかの種類のカレイが旬を迎えています。食用として流通が多く、人気があるのはマガレイ、メイタガレイ、マコガレイ、カラスガレイなどです。ヒラメと形状は似ていますが、両目が身体の右側についているのが特徴です。なお、エンガワはカレイ等の背びれや尾びれの筋肉部分です。これらの魚は背びれや尾びれを常に運動させているため、筋肉が発達しています。その結果、歯ごたえのある特徴的な食感となります。一般的には、高級な寿司店ではヒラメのエンガワが使用され、手頃な価格の回転寿司や寿司弁当ではカレイのエンガワが使われます。
平目(有名/中~高価格帯)
平目(学名:Paralichthys olivaceus)の旬は、冬から春にかけてです。特に12月から2月の冬が最も旬で、この時期は寒い海の中で肉厚となり、豊富な餌を食べて脂質の量が最大になります。同じ形状のカレイとは異なり両目が身体の左側についているのが特徴です。白身魚の中でも、平目は淡白かつ繊細な味わいを持つことで知られています。特にひれの部位は「えんがわ」と呼ばれ、独特の食感と味わいが楽しめます。
鰹(有名/低価格帯)
鰹(学名:Katsuwonus pelamis)は全長40~60cmで寿命は約10年、1mにも達する大型魚もいます。旬は春と秋の年二回あります。3月頃に九州南部から始まり、5月頃に本州中部まで北上する初がつおは、赤身が引き締まっており、あっさりとした味が特徴です。8~9月頃に三陸沖で獲れるカツオは戻りがつおと呼ばれ、脂がたっぷりとのっているため「脂カツオ」「トロ鰹」とも呼ばれています。鰹は鮮度が落ちやすいため、表面だけを炙って調理する”鰹のたたき”が有名です。
スズキ(有名/低~中価格帯)
スズキ(学名:Lateolabrax japonicus)は夏が旬の湾内や河口に生息する魚です。淡白でクセがない白身魚で、透明感のある上品な味わいが特徴です。また、スズキは成長に応じて名前が変わる出世魚で、15cm以下をコッパまたはハクラ、1年魚をセイゴ、2年魚をフッコ、3年以上のものをスズキと呼ぶのが一般的です。宍道湖の名物「スズキの奉書焼」も有名です。昔、漁師が魚を焼いて食べているのを見た当時の松江藩主が、その魚を所望しました。灰のついたまま差し出すのは恐れ多いと考えた漁師は、奉書に包んで蒸し焼きにした魚を献上しました。この料理が非常に美味であったため、松江藩の正式な料理となりました。そのため、明治維新まで庶民はこの料理を口にすることができなかったとされています。
コハダ(有名/低~中価格帯)
コハダ(学名:Konosirus punctatus)の旬は10月から3月で、特に11月と12月が最も美味しい季節とされています。コハダは成長に応じて呼び名が変わる“出世魚”の一つで、”シンコ→コハダ→ナカズミ→コノシロ”と名前が変化します。冷蔵庫がない時代には、内臓を抜いて酢と塩で漬けることで、生き生きとした味を保っていました。塩加減や酢締めの加減によって味が大きく変わるため、コハダは寿司職人の腕の見せどころとされています。
サバ(有名/低価格帯)
鯖(学名:Scomber australasicus)は昔から庶民の魚として親しまれてきました。鮮度が早く落ちるため、鯖を酢に漬け込んで「しめ鯖」として寿司に使います。白米の上に鯖の身を乗せて切り取って食べる「バッテラ寿司」も、日本各地で食べられる鯖の寿司の一種です。現在、流通しているサバは大きく分けて3種類あります。最も多く流通しているのがマサバで、茨城県や長崎県でよく獲れます。マサバの旬は、産卵期が終わった晩秋から2月頃です。胡麻サバは暖かい海を好むため、三重県や宮崎県での漁獲量が多くなっています。脂が少なく、年間を通して味が安定しており、しめ鯖などで利用されます。最近ではノルウェー近海で漁獲される大西洋サバも多くなっています。見た目や旬の時期がマサバとほぼ同じで、寿司の材料としても使われます。
秋刀魚(有名/低価格帯)
秋刀魚(学名:Cololabis saira)の名前の由来は、秋に獲れる刀のような魚の見た目から来ています。この魚は北海道や東北地方の冷たい海を回遊します。大きさは最大で約40cmまで成長します。3~6月に三重県から四国沖あたりの黒潮周辺で産卵し、7~8月には北上します。8月下旬から11月頃にかけて脂がのり、最高の味わいを迎えます。特に9~10月に三陸沖から房総沖で獲れたサンマは最高品質とされます。
サーモン(有名/低価格帯)
日本の天然の鮭は寄生虫のアニサキスがいるため、寿司や刺身にして食べません。したがって現在流通しているトラウトサーモン(学名:Oncorhynchus mykiss)は本来淡水魚のニジマスを海水で養殖したものです。脂がのっており、1年中安価に流通しているため人気の高い魚です。主にノルウェーやチリから輸入しています。
カンパチ(有名/高価格帯)
カンパチ(学名:Seriola dumerili)はアジの一種で、ブリやヒラマサと並ぶ高級魚の「ブリ御三家」として知られています。大型魚で、最大体長は190cmにもなります。天然のカンパチは珍しく、一般的には養殖されたカンパチが市場に流通しています。年間を通して食べることが可能ですが、特に夏から秋にかけてが旬となります。新鮮なものは弾力のある食感と、程よい脂と旨味を兼ね備えています。
鰻(有名/高価格帯)
古来より日本の食卓を彩ってきた鰻(学名:Anguilla japonica)は、現在では99%が養殖によるものです。稚魚は赤道付近のマリアナ海溝の深海で生まれ、海流に乗って日本の河川で育ちます。鰻の養殖では、これらの稚魚を漁獲し、池に移してから半年から1年半かけて育てられます。うなぎの血液には毒が含まれているため、寿司で食べる際には必ず焼いたものを使用します。醤油、砂糖、みりんを混ぜた甘辛いタレで焼いた蒲焼が一般的です。
鯛(有名/高価格帯)
スズキ目タイ科に属する魚で、代表的なのが真鯛(学名:Pagrus major)です。体長は30cmから1mと大型です。淡白な味わいながら甘みが感じられ、プリプリとした食感が特徴です。縁起が良いとされており、結婚式やお祝い事の席でよく振る舞われます。寿司で食べる場合は、皮をつけたまま湯通ししてから水で冷やし、柔らかく仕上げたものを使用します。
関あじ(希少性高い/高価格帯)
鯵は一般的に大衆魚ですが、大分県と愛媛県の間の豊後水道で獲れる関アジ(学名: Trachurus japonicus)は例外で、高級ブランド魚として知られています。この海域では海水温の変化が少なく、餌となるプランクトンが豊富に存在します。その結果、適度に脂が乗り、身がしまった魚が育ちます。また、網ではなく竿を使った漁獲により、魚に傷がつかず、新鮮な状態で市場に出荷されます。
ノドグロ(希少性高い/高価格帯)
北陸地方を中心に食べられてきたノドグロ(学名:Doederleinia berycoides)は、2014年以降、全国的に高級魚として認知されるようになりました。豊富な脂のノリは鮪のトロに匹敵し、そのため「白身のトロ」とも称されるほどの美味しさです。一般的には秋から冬にかけてが旬とされますが、新潟県や富山県では夏が旬とされています。
ハマチ(有名/高価格帯)
ハマチ(学名:Seriola quinqueradiata)はスズキ目アジ科ブリ属の魚で、成長と共に名前が変わる出世魚で、成長するとブリになります。大きなものでは80cm、10kgほどになります。
脂が適度にのったハマチは、引き締まった身の味わいが特徴で、多様な世代に好まれています。ブリに比べるとクセが少なく、幅広い世代に親しまれています。
鱧(希少性高い/高価格帯)
鱧(学名:Muraenesox cinereus)は、ウナギ目ハモ科に属する魚で、細長い円筒形の体を持ちます。見た目は凶暴ですが、実際には脂がのっていて白身が美しいことで知られ、濃厚な味わいが特徴です。鰻や穴子と同じく、血液に毒を含むため、食べる前には加熱が必要です。鱧の旬は主に夏の6月から7月にかけてで、産卵前に脂がよくのり、濃厚な味わいが楽しめます。また、秋の鱧は「名残ハモ」と呼ばれ、産卵後に肥えてさらに脂がのり、味が濃厚になります。主な産地は兵庫県と徳島県で、特に神戸の海は小魚や貝類が豊富な好漁場であり、ハモの産地として知られています。京都では高級料理として扱われており、他の地域では骨が多いため、主にすり身や蒲鉾に加工されます。調理法には、熱湯を通した身に細かく切り込みを入れる独特の方法が用いられます。
トラフグ(希少性高い/高価格帯)
河豚は強い毒を持っており、調理には特別な免許が必要なほど危険な魚ですが、非常に美味しいです。特にトラフグ(学名:Takifugu rubripes)は白身魚の中でも高級魚の頂点に立ち、締まった美しい身と上品な香りが特徴です。旬は冬季で、この時期の身が最もしまっています。また、オスの精巣である白子は「白いダイヤ」とも呼ばれ、その独特の味わいと食感が人気です。
カサゴ(希少性高い/中~高価格帯)
カサゴ(学名:Sebastiscus marmoratus)は一般的に20cmから30cm程度まで成長し、頭部が大きく、目立つ背びれの棘が特徴です。産卵シーズンである初冬から初春が旬で、この時期には透明感のある白身で上品な味わいが楽しめます。身の取り量はそれほど多くないため、鍋料理、味噌汁、煮付け、塩焼き、唐揚げなど様々な料理で楽しむことができます。大量に市場に出回る魚ではないため、刺身や寿司にすることは比較的珍しいです。
カワハギ(希少性高い/中~高価格帯)
カワハギ(学名:Stephanolepis cirrhifer)はフグの仲間で、食感と味がフグに匹敵する美味しい魚です。夏は産卵を終えて体力を取り戻すため、餌を多く摂り、身が肥えるためこの時期が旬とされます。身は脂肪が少なく淡泊ですが、歯ごたえがあります。特に肝は「海のフォアグラ」とも呼ばれ、その濃厚な旨みが特徴です。身に弾力があるため、刺身にする際は薄切りにして食べるのが一般的です。
サヨリ(希少性高い/中価格帯)
サヨリ(学名:Hyporhamphus intermedius)の旬は地域によって異なります。千葉県や茨城県では11月から3月頃が、石川県や広島県では3月から5月頃が旬です。この魚は白銀色に輝く透き通るような白身が美しく、ふわっととろける食感が特徴です。
ニシン(希少性高い/中価格帯)
ニシン(学名:Clupea pallasii)は「春告げ魚」とも呼ばれ、春に産卵のため沿岸に現れる魚です。冬から春にかけては脂がよくのり、濃厚でとろけるような味わいが楽しめます。また、ニシンの魚卵は「数の子」として有名です。通常、握り寿司にはあまり使用されない魚です。
数の子(有名/中価格帯)
数の子はニシン(学名:Clupea pallasii)の卵巣を塩漬けにして乾燥させたものです。”数の子”という名前は多産を象徴し、縁起物とされています。日本では伝統的に正月には数の子を食べる習慣があります。独特の食感と魚卵特有の濃厚な味わいが特徴です。
太刀魚(希少性高い/中価格帯)
細長い刀のような形状から太刀魚(学名:Trichiurus lepturus)と呼ばれるこの魚は、体表が銀白色の光沢を持っています。大きいもので体長は約1.5メートルにもなります。太刀魚の旬は7月から11月で、特に真夏には脂がよくのり、味が最も良くなります。西日本では愛媛県、長崎県、和歌山県などで漁獲されます。刺身が最も美味しい食べ方であり、皮の部分には甘味があります。
イサキ(希少性高い/中価格帯)
イサキ(学名:Parapristipoma trilineatum)は上品な味わいの魚で、ほどよく締まった柔らかい身と磯の香りが特徴です。イサキの旬は春から夏で、特に初夏から夏にかけてのイサキは脂がよくのっており、鯛にも匹敵するほど美味しいとされています。関東地方で獲れるイサキは、冬でも脂がよくのっており、鮮度が良いと透明感のある身質になります。
キンメダイ(希少性高い/中価格帯)
キンメダイ、別名アカムツ(学名:Beryx splendens Lowe))は、その美しい赤色の外観と上質な味わいで知られる魚です。キンメダイの旬は地域によって異なることがありますが、一般的には冬から春にかけてが旬とされています。最大で体長1メートルほどに成長することがありますが、実際に流通しているのはもっと小さいサイズのものが多いです。また、漁獲が困難な水深200mから800mに生息する深海魚であり、以前は、あまり食べられていなかった魚です。