【うどんの意外な事実】
うどんの歴史をたどると、原材料である小麦の歴史にもつながります。約一万年前、狩猟生活を送っていた人々は、食糧不足の際には草原の雑草の種を食べることもありました。これが人類とうどんの材料tなる小麦との最初の出会いとされています。紀元前7000年頃には、小麦の栽培が南西アジアの肥沃な三日月地帯で始まり、徐々にその農耕文化が広まり、中国では紀元前3000年に小麦の栽培が本格化しました。当時の食べ方は小麦粉を練って煮て食べる湯餅(タンピン)という料理で、これがうどんの先祖にあたります。その後、雲呑(ワンタン)のような小麦粉で練った皮を薄く伸ばす食材が誕生しました。
うどんの起源は中華料理?
中国の唐の時代、練った小麦粉を麺棒で薄く伸ばし、これを包丁で切って作る「切り麺」が登場し、麺類が誕生しました。この麺文化はシルクロードを経て西に進むとイタリアのパスタへと発展し、東に進むと日本のうどんへと発展し、今日に至っています。日本では4~5世紀に小麦栽培とこれらの麺文化が中国から伝わり、江戸時代にはうどんが庶民にも広まり、国民食になりました。うどんは基本的に温かい麺つゆに入れて食べる”かけうどん”タイプか、麺を冷やして濃い麺つゆと一緒に食べる”ぶっかけうどん”の二つのタイプに分類されます。現在、日本各地に存在するうどんは、それぞれ具材や麺の形状を工夫していますが、元をたどるとこの”かけうどん”または”ぶっかけうどん”の系統に属します。
かけうどん
かけうどんは熱いつゆと麺をどんぶりに入れたシンプルなうどんです。うどんの中で一番安いタイプです。具材は特に入れませんが、薬味としてネギを加えることがあります。なお、東日本と西日本でのつゆの味には明確な違いがあります。
ぶっかけうどん
ぶっかけうどんは、麺をゆでて湯を除き皿に盛り、少量の濃いつゆかまたは醤油を直接かけて食べます。具は肉や天ぷらなど様々あります。“かけうどん”との大きな違いは麺つゆにうどんを一緒に入れて食べるのではなく、うどんを麺つゆにつけて食べるようなイメージです。似たジャンルのうどんとしてつけ汁うどんなどがあります。
【立ち食いうどんの味旅物語】
うどんや蕎麦を立ち食いスタイルで提供することは、日本独自の文化です。その起源は江戸時代の屋台にある”夜泣きうどん”と”夜泣き蕎麦”に遡ります。明治時代に入ると、鉄道の発展とともに駅の待合室でこれらが提供され始めました。現代の駅で見られる立ち食いうどんや蕎麦は、戦後の高度経済成長期以降に広く普及しました。これらは現在でも500円以内で食べることが可能な「物価の優等生」としても知られ、限られた原材料の中で多様な具材を用いて、飽きることなくうどんの魅力を際立たせています。
かき揚げうどん
小エビや刻んだ野菜などを小麦粉で和え、油で揚げた天ぷらがのっています。海老天ぷらうどんと比べるとリーズナブルでありながら、食感が良く、手頃な価格で天ぷらうどんを楽しみたい方におすすめです。
月見うどん
かけうどんに生卵を加え、卵黄を月に見立てています。日本では新鮮な卵が手に入りやすいため、生卵を使った料理が一般的です。
コロッケうどん
本格的なうどん屋では見かけませんが、駅構内などのカジュアルなうどん店でよく見られるメニューです。コストパフォーマンスが高く、満足感も得られる一品です。
カレーうどん
日本人に愛されているカレーとうどんを組み合わせた料理で、伝統的なうどんとは一線を画します。カレーそばもありますが、カレーうどんの方が一般的によく食べられています。
天ぷらうどん
主に海老天ぷらがのったうどんで、他にも魚や野菜、ちくわ、キノコなどの天ぷらがあります。うどんの中でも比較的高価なメニューです。
わかめうどん
わかめをトッピングしたうどんで、わかめは食物繊維やミネラルを豊富に含んでいます。うどんの中でかけうどん以外では最もカロリーの低いうどんです。
なめこうどん
なめこを加えたうどんです。なめこは粘り気のある食感が特徴で、高い栄養価を持つキノコとされています。
山菜うどん
春の野草やシダ類など、さまざまな山菜を使ったうどんです。山菜には「ふきのとう」や「たらのめ」、「わらび」や「ぜんまい」などが含まれます。
★関東/関西の立ち食いうどんの美味しいお店
うどん加賀 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都渋谷区本町1丁目2-3 1F
【評判】口コミも高評価/天ぷらは注文してから揚げたてを提供
肉うどんの店 南天本店 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都豊島区長崎1丁目2-2
【評判】鰹節の出汁と豚肉と玉ねぎを煮込んだ麺つゆが美味
Udon Kyutaro ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】大阪府大阪市中央区久太郎町3-1-16 102
【評判】うどん百名店に選ばれている人気店/讃岐うどんの提供スタイル
【日本三大うどんの味旅物語】
一般的に、東日本は蕎麦文化であり、西日本はうどん文化とされていますが、意外にも日本三大うどんには東日本の秋田県にある稲庭うどんと群馬県の水沢うどんの2つが含まれています。最後の一つは西日本の讃岐うどんです。しかし、これら3つのうどんの中で、讃岐うどんは特に有名で、知名度では実質的に日本一と言えるでしょう。
稲庭うどん(秋田県)
“稲庭うどん”の麺は一般的なうどんよりもかなり細く、食感も特徴的です。このうどんは古くから秋田県で食されていましたが、1972年にそれまで秘伝とされていた製法が公開され、全国的に知られるようになりました。
★稲庭うどんの美味しいお店
稲庭古来堂 青柳家店 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】秋田県仙北市角館町表町下丁3
【評判】角館を統治していた佐竹北家に伝承された料理を再現/地元の稲庭うどんの人気店/旬の野菜や肉を山椒味噌をつけて焼いた味が特徴
あきた美彩館 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】東京都港区高輪4-10-8 WEST-Ⅲ 1F
【評判】品川駅から徒歩3分の秋田県のアンテナショップ/自家製かえしをカツオ、さばの混合出汁で割ったつゆを使用した稲庭うどんを提供
水沢うどん(群馬県)
群馬県が発祥の”水沢うどん”は、その地域の水澤寺の参拝客向けに提供されたことが由来です。ざるうどんとして盛り付けられる冷たいうどんのメニューが有名です。
★水沢うどんの美味しいお店
元祖 田丸屋 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】群馬県渋川市伊香保町水沢206-1
【評判】水沢うどんの始祖とされる老舗店/創業は本能寺の変があった天正10年(1582年)と同じ時期/清涼な岩清水で練り上げられたうどん/コシがあり滑らかな食感が特徴/麺つゆは醤油と胡麻の二色が人気
大澤屋 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】群馬県渋川市伊香保町水沢125-1
【評判】水沢うどんの人気老舗店/水々しくコシがあるのに柔らかい/香川の讃岐うどんとはまた違う美味しさが特徴/ごま汁で食べるのもおすすめ/舞茸の天ぷらも絶品
手打ちうどん始祖 清水屋 ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】群馬県渋川市伊香保町水沢204
【評判】水沢うどんの始祖とされる老舗店/清涼な岩清水で練り上げられたうどんは、コシがあり滑らかな食感が特徴
讃岐うどん(香川県)
日本三大うどんの”讃岐うどん”はあらゆるうどんの中で最も知名度があり、日本を代表するうどんと言えます。小麦粉を足で踏む独特の製法で作られた讃岐うどんの麺は、その食感で高く評価されています。
★讃岐うどんの美味しいお店
中村うどん ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】香川県丸亀市土器町東9丁目283
【評判】丸亀市にある老舗の讃岐うどん店/手練り、足踏み、茹でたての製法にこだわり、粘り気があり弾力のある麺が特徴/「ぶっかけ」うどんが定番メニュー
長田うどん ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】香川県仲多度郡まんのう町吉野1290-1
【評判】出汁の味が高評価/地元の人気店で接待にも利用されるお店
おうどん 瀬戸晴れ ⇒地図・営業日・営業時間
【住所】香川県高松市牟礼町牟礼2694-1
【評判】高松市の屋島にある店/かけ出汁と麺のバランスが絶品/季節を問わず「かけうどん」が人気
【東日本と西日本のうどんの味旅物語】
うどんの「麺つゆ」には、東日本と西日本で大きな違いがあります。東日本では「濃口麺つゆ」と呼ばれる濃い味付けが一般的で、色も濃くなります。一方、西日本では「薄口麺つゆ」を用い、これは比較的薄味で色も薄めです。この東西の味の違いには明確な境界線があるわけではありませんが、一般的には愛知県と三重県の県境、滋賀県の関が原、富山県の富山市周辺を分かれ目とすることが多いです。西日本にはうどん屋が多く、特に関西地方ではうどんがソウルフードとして日常的に広く食べられています。一方で、冷涼な気候の東日本の東北や長野などでは蕎麦の栽培が盛んで、そのため蕎麦に人気があります。
東日本の濃口麺つゆ
東日本の麺つゆの出汁は、東京(当時の江戸)で入手しやすかった鰹節が一般的です。香りの強い鰹節のため、醤油味を効かせてバランスを取ったとも言われています。
西日本の薄口麺つゆ
西日本の麺つゆの出汁は、当時、北海道から日本海の海運を経由して豊富に流通していた昆布が使われていました。昆布だしは繊細なため、醤油味を薄めて出汁の強さを引き立てたと言われています。
たぬきうどん
“たぬきうどん”は、東京で天かすを蕎麦に入れた”たぬき蕎麦”から由来したものです。一方、関西地方の大阪では、このタイプのうどんは”ハイカラうどん”という名前で知られており、天かすはセルフサービスで加えるスタイルです。また、京都においては”たぬきうどん”と称されますが、油揚げや九条ネギ、あんかけを加えることで、関東のたぬきうどんとは全く異なるうどんとなります。
関東(東京) | 関西(大阪) | 関西(京都) | |
名称 | たぬきうどん | ハイカラうどん | たぬきうどん |
具材 | 天かす | 天かす(別添) | 油揚げ 葱 餡 |
きつねうどん
日本では古くから、狐を神様として崇める文化があります。狐の好物が油揚げであることから、関東でも関西でも、甘く煮た油揚げをのせたうどんを”きつねうどん”と呼びます。大阪のうどん屋で油揚げを別の皿で提供したところ好評で、その後うどんに直接油揚げを入れて食べる現在のスタイルが広まりました。なお、京都の“きつねうどん”では、味付けをしていない油揚げを使用しますが、味付けをした場合は”甘きつね”と呼ばれます。さらにこのうどんに餡をかけた場合は”たぬきうどん”となります。
関東(東京) | 関西(大阪) | 関西(京都) | |
名称 | きつねうどん | きつねうどん | きつねうどん |
具材 | 味付油揚げ | 味付油揚げ | 味無油揚げ |